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【開催報告】厚労省、各党議員が語った養子縁組の未来

2017.08.31

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平成28年12月に成立した特別養子縁組あっせん法。
その施行が平成30年4月に決定され、この8月末には概算請求を出すという、かなり速いスピード感で進められています。

果たして、法案に規定のある民間の特別養子縁組支援団体への適切な補助金を盛り込んだ概算請求となるのでしょうか。

予算や制度の細かいところに現場の意見や思いを届けるべく、日本こども縁組協会では8月7日に緊急シンポジウムを行いました。

この法律の成立に尽力した国会議員の皆さん、厚生労働省の担当課長、そして前半では塩崎恭久前厚生労働大臣も登壇し、活発なディスカッションの場となりました。

●「新しい社会的養育ビジョン」の目指すもの

8月2日に厚生労働省より『新しい社会的養育ビジョン』が発表されました。これは、昨年成立した改正児童福祉法の理念を具体化するため、それまであった『社会的養護の課題と将来像』を全面的に見直し、新たなビジョン策定として議論され、まとめたものです。

今回この中で、特別養子縁組については「概ね5年以内に、現在の2倍の年間1000人以上の特別養子縁組成立を目指す」という数値目標が発表されました。

このように具体的な数値目標が掲げられたことは非常に画期的なことです。


また、特に就学前の子どもは原則として施設への新規措置入所を停止し、3歳未満の子どもは5年以内に、3歳から就学前の子どもは7年以内に
里親委託率を75%以上にするなど、乳幼児期の「家庭養育原則」実現に向けた数値目標が盛り込まれた内容となっています。

「新しい社会的養育ビジョン」については塩崎恭久前厚生労働大臣の強い思いが込められていたものであり、この新ビジョンについては前大臣より下記のような説明がなされました。

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・「特別養子縁組を倍増の1000人へ」について

「新ビジョンの中で今回はっきりさせていることに、『パーマネンシー保障としての特別養子縁組』がある。子どもにとって一番は、やはり親ないしは育ての親で、その関係の中で愛着形成がなされながら健全に育っていくことが大事。これを法律通りにやっていくと、特別養子縁組を概ね5年以内に、現在の2倍である1000人に倍増させるということになる」

・「ペースが速すぎるのでは?」という意見について

「特別養子縁組を倍増させるためには更なる法改正が必要となり、法務省でも検討会が始まっている。先送りする議論もあったが、もし1年延ばして、その1年の間に失われる子どもの未来に誰が責任を取るのか

できるところからどんどんやって、決して待たない。それが子どもたちの未来を守ることになる。しっかり予算を獲得して、人を育てながら子どもたちの未来を作る、命を守ることをやっていくことを、各党みんなで頑張らなければいけない」

「この新ビジョンを出した時、数値目標があることで子どもたちにしわ寄せがいくのではないか、という指摘もあったが、それは絶対にあってはならないことだし、違う。できるところからやっていくために、『原則として』『概ね5年以内』としている」

 

■「特別養子縁組の推進」のための予算について

新しい社会的養育ビジョンでは概ね5年以内に特別養子縁組を倍増と明記されましたが、これまで民間の特別養子縁組あっせんについては何の法的サポートもありませんでした。

そこで特別養子縁組あっせん法では、支援団体への補助や、適正な団体をフィルタリングするための許可制などが謳われているわけですが、新ビジョンで示された「特別養子縁組1000人成立」を実現するためには、予算も人材も必要です。

適切に運営される民間の特別養子縁組支援団体を増やすため、また、そのような団体がきちんと事業を継続していくためにも、補助や支援が必要ということは、あっせん法を作る時にも検討されてきましたが、この点について厚生労働省内で議論が進んでいるのかは気になるところです。


この点について、厚生労働省家庭福祉課の成松英範課長は

「民間あっせん団体に対する財政上の措置、あるいは研修等については平成30年度の概算要求に向けて検討していく」

山本議員は

「概算請求には必ず盛り込むべく調整している」

と明言しました。

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補助については、特別養子縁組「1件ごと」「団体ごと」といった補助の仕組みが考えられ、それぞれにメリットやリスクもあるためしっかりと議論が必要です。

また特別養子縁組支援団体が「子どもの最善の利益」を考えた支援を行うよう義務づけた制度設計にするためにも、今後パブリックコメントなどの場を活用して、意見を届けていかなくてはなりません。

 

●特別養子縁組あっせん法の課題と今後

■「許可制」がきちんと機能するか

特別養子縁組支援団体については、これまでの「届け出制」から「許可制」になることが決まりましたが、どのような団体が許可されるのか、具体的なところはまだ決まっていません。

何度も行政指導を受けるような悪質なあっせん団体もあるなか、そのような団体が許可されないような実効性を持たせた内容となるのかについても、各議員より以下のような意見がありました。

「特別養子縁組支援団体には専門性を持ってもらわなければいけない。子どもの福祉を最善に考える、しっかり適正な運営ができる団体しか許可しない仕組みにしていきたい」(山本議員)

「許可制にすることでハードルを上げることになるが、同時に許可された団体はしっかり支援していくというのが法律の趣旨。固定費と変動費についてはリスクもあるので、実績と関係なくある程度固定した補助を保証しないといいサービスにはできない」(田嶋議員)

 

■児童相談所(都道府県)と民間養子縁組あっせん団体の連携

児童福祉法にも明記されたように、今後は特別養子縁組を推進していくことが、児童相談所の役割に位置付けられていますが、児童相談所の管轄は都道府県です。今はこの児童相談所が、民間の特別養子縁組支援団体と連携する動きがないことが課題として上がっており、これに対しては、シンポジウムに参加していた音喜多駿都議員、栗林のり子都議からもコメントをいただきました。

東京都では児童相談所が特別養子縁組のマッチングに消極的で、目標数値の設定なども行ってこなかった。今後はデータ公開による見える化を進めて世論に訴えていくことが有効だと考える。都民ファーストの会では特別養子縁組の推進を公約に掲げている。データ公開について都議会の中から求めていきたい」(音喜多駿都議/都民ファーストの会)

3月の予算特別委員会で東京都も中央児相に窓口を作るという相談体制を作るところまではきたが、民間の特別養子縁組支援団体を活用する気配はなかったので、許可制となったら、実績のある優良な団体はパートナーという位置づけになるように提案し、検討するという段階まできている。引き続き都民ファーストの会と協力していきたい」(栗林のり子都議/公明党)

 

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■会場を交えたディスカッション

特別養子縁組支援団体からは、妊婦が母子手帳と健診の受診券を医療機関で受け取れるようにしてほしいという要望や、特別養子縁組に関する基本法などを作る予定に関して、また、国際養子縁組でないと親を見つけられない子どもの支援の位置づけについて質問されました。

他にも会場からは、不妊治療に取り組む産婦人科医から医療者への啓発について、人権団体から子どものパーマネンシー保障の権利に関して省庁を超えた取り組みについて、また、少子高齢化の観点からも国を挙げた政策として取り組んでほしいなどの意見がありました。

強い熱意を持って取り組まれてきた塩崎前大臣は退任しましたが、「自民党内の社会的養護の議員連盟を動かしていく」と、引き続き議連の会長としてバックアップしていくと宣言されました。

●さいごに

<パブリックコメントで、あなたの声を届けて下さい>

限られた時間の中で活発な議論が展開され、シンポジウムは閉会となりました。

党を越えて一致団結して子どもの未来のために取り組んでいただくためにも、パブリックコメントなどで現場の声や、財源の確保についてしっかりと声を届けていくことが、必ずこの制度設計に役立ちます。

社会的養護下に子どもたちは、もっとも声が発せられない、もっとも弱い立場にいます。

きちんとこの問題に向き合う大人たちが声を発して、どのような課題があるのかを発信し、世論を盛り上げていくことが、困難な状況下にある子どもたちを助けることに繋がります。

 

★現在厚生労働省では養子縁組あっせん法による制度づくりにについて、パブリックコメント(国民からの意見)を募集しています。誰でも参加することができます。

ぜひこの制度に望むこと、あなたの声を届けてください。(9月14日まで

Webページからの送信の他、FAX、郵送の方法があります。

厚生労働省

「民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律の施行期日を定める政令案」等に関する意見の募集について(9月14日まで)

 

皆さんの力を貸してください。子どもが温かい家庭で育っていける社会を一緒に作りましょう。