3月4日(日)【特別養子縁組 実践研修】を開催しました
2018.03.28
3月4日、「ジョンソン・エンド・ジョンソン社会貢献会 2017年度 助成プロジェクト 夫婦のための特別養子縁組 実践研修」を開催しました。
今年度フローレンスでは、ジョンソン・エンド・ジョンソン社会貢献委員会様よりご支援を受け、
特別養子縁組の啓発と、受け入れ先となる夫婦が養子縁組についてしっかりと学べる研修の構築・実施を行っています。
昨年11月と今年の2月には、特別養子縁組を考え始めたご夫婦がまずは特別養子縁組という制度について正しく理解し夫婦で話し合うきっかけとなるよう<特別養子縁組 入門研修>を開催しました。
そして今回の【特別養子縁組 実践研修】は、<特別養子縁組 入門研修>を受けた夫婦の次の段階の研修として、
・子どもの心理的発達について理解を深めることで、養子を迎えるにあたりどのような心構えが必要か
・夫婦自身が子どもを迎えた後の具体的なイメージを持って、自分たちだったらこんな時どうする?
というような、更に夫婦で一歩踏み込み考えるための研修として位置づけ開催しました。
この実践研修は、北村メンタルヘルス研究所の北村俊則先生に監修いただき
グループ討論を中心としたワークショップ形式とし、11月と2月の入門研修を受講したご夫婦48組の内、16組が参加し活発な学びの機会となりました。
◆特別養子縁組 実践研修の内容
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はじめに:アイスブレーキング
講義1:社会的養護の子どもたちの情動・行動の問題について(グループ討論)
講義2:養子を欲しいという夫婦の心理―自分の抱えた葛藤のはけ口なのか?(グループ討論)
講義3:良い養育態度の決定要因/パーソナリティについて(グループ討論)
さいごに:各グループからの発表と全体討論
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はじめに16組のご夫婦を4つのグループに分け、じっくり時間をかけて自己紹介のアイスブレークを行うところからスタート。
その後、講義1「社会的養護の子どもたちの情動・行動の問題について」では
北村先生より子どもの成長過程での課題、注意欠如や多動性障害などについての課題について講義があり、どうしてそういう問題が出るのか、子どもを迎えた後にこのような問題が出た場合にどう対処すれば良いのかなどを時間をかけてグループで話し合いました。
午後は講義2「養子を欲しいという夫婦の心理―自分の抱えた葛藤のはけ口なのか?」から始まりました。
養子を欲しいという夫婦の心理として、子どもを迎えたいと思うのは、自分自身が親との関係の中で得られなかった葛藤などの代替ではないか。
もしそういったことがあるとしたら、子どもを養育する上でどういうことに留意して子育てをしたら良いか、というような参加者自身の内面に問いかけもありました。
その後のワークでは先生の講義を受けて、自分自身が子育てをする時にどういう問題が生じる可能性があるのかということを洗いざらい書き出して、皆で話し合うワークを行いました。
なぜ子どもがほしいのか?と自分の内面を掘り下げていく作業は、人によって始めは少ししんどく感じたかもしれません。しかし自分自身や子ども時代の親との関係まで遡って人生を見つめ直す良い機会として、このワークが機能していたように感じました。
ふだん夫婦でこういったことを他人と話す機会はなかなかありません。皆さんグループのほかの参加者の方の発言にも熱心に耳を傾けている様子が印象的でした。
講義3「良い養育態度の決定要因/パーソナリティについて」では、自分自身が良い養育をするためには、自身のパーソナリティ形成の要因である自分の両親からどういう関わりをしてもらったか、どのような影響を受けたかということが大きく起因していることを学びました。
この講義の後のワークでは、自身の親との関わりや影響の中で自分の子育てにおけるプラス要因やマイナス要因があることを学び、それについて自身の考えを話し合いました。
どう対処すべきか、どういう方法で対処できるかなど、自分の育った環境から形成されたパーソナリティについて内省し、それが自分の子育てにどう影響するかという視点で、改めて見つめ直す良い時間となったようでした。
更に最後にはこのように全員で輪になって、
全講義を通して各グループでどのようなことを話し合ったか、養育に不安に思うことがあればそれはどうやって解決できそうか、子どもを迎える前にどんな準備や下調べができるかなど、皆で意見を出し合い結論を見つけてゆく全体討論となりました。
開催後のアンケートでは、このような感想が届きました。
・グループディスカッションを通してほかのご夫婦の意見を聞けることで客観的に養子縁組の考え方や心理を感じることができて自分たちの考えも深めることが出来たと思います。また夫婦間の気持ちも、この場を借りて聞くことが出来たので改めて確認できてよかったです
・養子を迎えることを考えると良い面ばかりに目が行くので、ネガティブだったり辛いことに焦点を当てていてとても勉強になりました。
・夫婦で子どもを迎える前に考えておくべきことが見えて良かったです。よく話し合いたいと思います
・今回の研修内容をさらに深く理解して子どもへの理解/育成のベースになればと思っています
・イメージや知識だけでは分からなかった事。少しずつ考えるキッカケとなる研修でした。同じ不安を 持ったご夫婦の気持ちを知れたことは貴重でした。
・何故子どもを迎えたいのか?またその長所・短所を考えることは想定外でしたので夫婦で考えをまと める良い機会になり自分自身も深く考えさせられました。
・完璧になろうとしなくてもイイという先生の言葉は印象的でした。 また今のうちに相談をしたり助けてもらいたい時のホットラインは調べてリストアップしておかなけれ ばならないなと思いました。
多くの方が「ほかの夫婦の方の気持ちがよく分かった。このようなディスカッションが無ければ知ることができなくて、貴重だった」といった感想を挙げていたことも印象的でした。
子どもを迎えて養育するための具体的にイメージを膨らませ、夫婦でさらに話し合いを深めていくための充実した時間となったようで、スタッフ一同実施して本当によかったという想いでした。
今後もフローレンスでは、子どもたちの受け入れ先となる養親家庭を増やすため、養親を希望する夫婦に向けたさまざまな研修に力を入れていきます。
入門研修に続き、今回の実践研修の実現にあたって、助成を通じて支援してくださったジョンソン・エンド・ジョンソン社会貢献委員会様にもここで改めてお礼を申し上げます。