「特別養子縁組あっせん法案」参議院通過!あとは衆議院

2016.11.24

お知らせ

今日の国会で、通称・特別養子縁組あっせん法案(民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律案)が、参議院労働委員会を通過しました。
虐待死ゼロの社会を目指して、特別養子縁組が、児童福祉の社会インフラになっていくために、大きな一歩となる法律です。

賛成挙手で全会一致、可決した瞬間です。

あっせん法参議院可決

繰り返しお伝えしていますが、日本では2週間に1人の赤ちゃんが虐待死し、また毎年3000人の幼い子どもたちが乳児院に預けられ、施設で育つことを余儀なくされています。

そんな中、大きな役割を果たしてきたのが、民間の養子縁組あっせん団体です。

我々が取り組むこの赤ちゃん縁組もまさにそうですが、産んでも育てられない事情を抱え悩む妊婦さんの相談に乗り、出産後に子どもを迎えたいと希望する夫婦に赤ちゃんを託し、特別養子縁組を支援(あっせん)する団体は現在国内に約20団体ほどあります。

しかし近年、適切でないやり方で、あっせんを行う団体が出てきました。

先日千葉県にある団体「赤ちゃんの未来を救う会」が事業停止命令を受けました。この団体では、育ての親候補である夫婦に、「負担金のうち、100万円を先に支払えば優先的に赤ちゃんを委託する」などとして、まだ委託が発生していないうちから金銭を要求し、受け取っていました。(詳細はこちら

また、大阪にある別の団体では、「インターネット赤ちゃんポスト」と謳ったアプリ上で、生みの親と育ての親をマッチング。双方への面談やカウンセリングを大幅に省略したあっせんを行っています。本来、養子縁組のあっせんは、生みの親に安易に養子縁組を勧めるのではなく、丁寧にカウンセリングを行っていく必要があります。また、子どもの受け入れ先となる育ての親も、人の一生の託す訳ですから、しっかりと審査し、その子どもに合った家庭を、団体が責任を持ってマッチングせねばなりません。

こういった、倫理上明らかに問題があるあっせんが横行してしまう背景には、養子縁組あっせんについての法律やルールが一切ないことがありました。

この問題点は実は数年前から提起されていましたが、今国会でようやく、満を持して「特別養子縁組あっせん法案」として実現するところまで来ました。

この法案のもっとも大きなポイントは、適切な運営を行う団体にだけ許可が出される「許可制」導入です。

今も都道府県に「第二種社会福祉事業」という届け出を出すことが義務づけられていますが、事実上、届け出さえ出せば誰でも運営できてしまいます。許可制が導入されることにより、適切な運営する事業者かどうかのチェックが機能するようになります。

 

そして、許可され運営している団体は補助される、という点も大きなポイントです。

現在、民間の養子縁組のあっせん事業者には行政から補助が一円も出ません。そのため費用は育ての親に支払ってもらいますが、事業者は赤字前提で運営せざるを得ず、持続可能な運営状況とは言えません。母子を救いたい一心でボランティアのような形態で取り組んでいることも少なくない現状です。
しかし、補助されるようになることで、赤ちゃん縁組が児童福祉としてきちんと位置づけられ、運営が安定することで、多くの赤ちゃんを救うことにつながります。

 

この特別養子縁組あっせん法案は、養子縁組が児童福祉インフラとして広がっていくための、大きな大きな第一歩になるに違いありません。

しかし、みなさん、まだまだ油断はなりません。日本は二院制。参議院を通っても衆議院を通らなければ、廃案になります(※)みなさん、どうか引き続き、応援してください!

虐待死がゼロで、赤ちゃんがあたたかい家庭で成長していける社会のために。

 

※議案は通常は衆議院通過後、参議院となりますが、現在衆議院での議題が混み合っているため、本事案については参議院→衆議院、という形態がとられています。

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