育児休業法が改正されました!試験養育期間も育休に。

2017.01.23

お知らせ

今月、特別養子縁組を考える共働き夫婦にとって、画期的な法律改正が施行されました。
平成29年1月1日からの「改正育児・介護休業法」施行により
特別養子縁組が成立するまでの監護期間(試験養育期間)も、育児休業の対象になりました!

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共働き夫婦にたちはだかっていた壁

これまでは特別養子縁組が家庭裁判所に正式に認められるまでの監護期間は、育児休業対象外でした。
育児休業について定められている育児・介護休業法では、子どもが1歳になるまでの育児休業取得を認めています。
特別養子縁組が家庭裁判所で正式に認められれば、法律上親子と同じになるので、問題なく育児休業取得の権利が得られるのですが、特別養子縁組制度では、法律上の親子関係が認められるまでに、最低でも約6ヶ月間の監護期間が必要です。
この監護期間は、育ての親となる夫婦が、きちんと子どもを養育できるかを見極める期間なのですが、問題なのはこの期間はまだ法律上の親子関係ではないので、育児休業が取れなかったことです。
そのため共働き夫婦は、赤ちゃんを迎えるときにどちらかが一度仕事を辞めて専業主婦(夫)となるか、特別養子縁組自体を諦めざるを得ませんでした。これまでは共働き夫婦が育ての親になることがあまり想定されていなかったと言えます。
しかし共働きがあたり前の時代となり、特別養子縁組で子どもを迎えて、子育てと仕事も両立したいと考える夫婦も多くなってきました。

 

育休の社会保障3点セット、監護期間にも適用
会社員の共働き夫婦が出産・育児で受けられる福利厚生には、
「育児休業の取得」、「休業中の給与保障としての育児休業給付金の受給」、「休業中の健康保険・厚生年金保険などの保険料の免除」 のいわゆる社会保障3点セットがあります。


今回の改正では、特別養子縁組が成立するまでの監護期間として子を養育している場合にも、この育休の社会保障3点セットが対象になりました。これは非常に画期的です。
改めて特別養子縁組による親子を社会制度の中に包含し、支えていこうという機運の証であり、
共働き夫婦が特別養子縁組で子どもを迎える道が大きく開かれた言えます。

 

はじめての子育てと裁判がスタートする監護期間
フローレンスの赤ちゃん縁組でも、育ての親へ求める条件の一つに子どもを迎えた後一定期間育児に専念できること」を掲げています。今回、監護期間が育児休業の対象となったことで、共働き夫婦でもこの条件がクリアしやすくなったと言えます。

生まれて間もない乳児のお世話があるため、産休・育休という形で育児に専念するのは通常の出産・子育ても同じです。
しかし養子縁組では、審査や研修を通じた心の準備期間があるとはいえ、妊娠期間がない状態でいわば「急に」赤ちゃんを迎えることになります。(それもあり、フローレンスでは登録までの審査・研修に最低でも6ヶ月以上かけて準備期間を手厚くサポートしています)

赤ちゃんが来たあとは、慣れない赤ちゃんのお世話をしながら、家庭裁判所の審判の手続きを進める必要があります。
この審判は、生みの親の最終的な意思確認や母子の状況、また、育ての親の養育能力を見極める家庭調査や聞き取りなどが行われ、特別養子縁組が適切か法的な判断される非常に重要な期間です。

あらゆる意味でめまぐるしい、赤ちゃんを迎えた直後からしばらくは、家族一丸となって赤ちゃんと「家族になっていく」時間をしっかりと確保してほしいと考えています。
それらが落ち着いた後、保育園などに入園し、子育てと仕事を両立していくことは不可能なことではありません。

 

職場とのコミュニケーションが重要

共働き夫婦が仕事を辞めずに特別養子縁組で子どもを迎える上で、大事なポイントがあります。

委託になったら夫婦のどちらが主たる育児者となるのか決めておくことはもちろん、一定の段階になったら、職場など周囲へ養子縁組を考えていることを伝え、協力・理解を得ておくことです。
育ての親登録者として待機に入ったあと、赤ちゃんの誕生があった場合には、出産後に生みの親に意思を最終確認してから、最も適切な育ての親とマッチングし、育ての親候補の方に連絡を入れます。
連絡から、赤ちゃんのお迎えまでわずか2,3日ということも少なくありません。当然、その後は子育てが続いていきますので、育ての夫婦が共働きの場合、夫婦どちらかが「急に長期の休み(=育休)に入ること」が必至となります。

しかし実際問題、仕事をしていると、急に抜けられるというのは、職場に負担がかかってしまうことです。
そのため、審査の後半の段階になったら、あらかじめ、職場の上司や同僚など周囲の人に相談して理解を得ておくようにしましょう。
養子縁組を考えていることを伝え、待機期間に入ったら、赤ちゃんの委託の連絡があれば2,3日で長期の休みに入ってしまうことを想定し、業務の後任や、引き継ぎはどうするかなども相談・調整しておく必要があります。
落ち着いたあとに職場復帰を希望するならなおのこと、自分が突然抜けることで周囲が極力困らないよう、周りも準備ができるよう、前もってコミュニケーションを取っておくことが大切です。

 

職場の同僚も、養子縁組や多様な家族があることが身近に

いまはまだまだ一般的に知られているとは言えない特別養子縁組ですが、職場でひとり特別養子縁組で子どもを迎えた人がいると、その職場の人たちにも体験が共有され、養子縁組や多様な家族があるということを、グッと身近に感じるようです。

そういった意味でも、特別養子縁組で子どもを迎えた人が再度職場に戻り、その中で子育てと仕事を両立していくことは、社会の変化の芽になりうるのではないかと感じています。

多様な家族のありかたが包含された今回の改正。

私たちフローレンスも、特別養子縁組がひとつの幸せな家族の形として、社会に拡がっていけるよう、
引き続き取り組んで行きます。応援よろしくお願いいたします!

 

【関連リンク】
*フローレンスでも平成27年5月に就業規則の改正を行い、育児休業法の改正に先駆けて
里親や特別養子縁組の監護期間でも育休取得が可能にしています。
http://florence.or.jp/news/2015/08/blog1379/

**改正育児・介護休業法のポイント 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/32_03.pdf

*育ての親になりたい方へ
・子どもを迎えたいと希望するご夫婦は、まずは知ることから、進めてみてください。
先日発売された、「産まなくても、育てられます」(後藤絵里さん・著)を読んでみるのもお勧めです。
・登録審査申込も受け付けています。
https://engumi.florence.or.jp/requirement