【調査】自己肯定感を感じる割合、養子の子どもは2倍
2017.01.13
日本で初めての、特別養子縁組によって迎えられた養子に直接聞く形式の調査結果が、先月発表され、メディアでも報道されています。
●10~17歳の9割「養親の愛情を感じている」 (毎日新聞)
http://bit.ly/2hRC7Lr
●養子縁組家庭に関するアンケート調査結果(概要版)
http://www.nippon-foundation.or.jp/news/articles/2016/img/77/1.pdf
養子縁組した親と暮らす10~17歳の7割は自己肯定感が高く、9割は親の愛情を感じているとの調査結果がでています。
特別養子縁組で家族になった家庭にとってうれしいニュースですので、紹介します。
養子縁組世帯の方が、自己肯定感を感じる割合が高い
「自分自身に満足している」かどうか、という質問に対し、「そう思う」が25.8%でした。これは平成23年に内閣府が全国の中学三年生を対象にした調査(出典:平成23年度「親と子の生活意識に関する調査」 )の12.5%と比べ、約2倍高い結果となります。
養子縁組家庭の子どもは、「自分自身に満足している」かどうかに対し「どちらかといえばそう思う」という穏やかな自己肯定まで含めると、70.7%が満足している状況になっています。
これは、全国の中学三年生と比較すると、彼らの「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」を足しても46.5%なので、約5割ほど自己肯定感が高い層が多いことになります。
また、「自分には長所があると感じている」かどうかについても、「そう思う」は養子縁組家庭においては43.2%、全国の中三は26.8%と、6割ほど高い結果となっています。
親から愛されていると感じている
子どもの健全な発達において、親や周囲の大人から愛情を受けることは、とても大切なことです。
「親から愛されていると思う」かどうかについても、養子縁組された子どもたちは63.5%が「そう思う」と答えており、全国の中学三年生の「そう思う」は45.5%なので、約4割ほど高い数値となっています。
もちろん、今回の日本財団調査対象と、内閣府調査の対象年齢は完全に一緒ではありませんし、サンプルデータのサイズも違うので、単純に直接比較できるものではありません。
しかし、私たちの社会に新しい視点を与えたものであることは、間違い無いのではないでしょうか。
養子で迎えられた子ども達は、よくあるイメージの「かわいそうな存在」では決してなく、
養子で迎えられた子ども達が「親から愛され、自分もしっかりと愛せる」存在であるということが、調査によって裏づけられたことをうれしく思います。
【なぜ良い結果に?】
本調査は、「ではなぜ養子縁組家庭において、自己肯定感が育まれるか」また、他の社会的養護と比較して学業の状況も良い理由ついては答えていませんが、
そのヒントとなるデータはある程度提出されています。
例えば、自己肯定感については、
・特別養子縁組の家庭は、子どもと夕食を共にする頻度が一般世帯よりも多いこと や、
・子どもに本や新聞を読むことをすすめている世帯の割合や、子どもが小さいころに絵本の読み聞かせをしていた割合、子どもが自然に触れる機会を作っている割合なども軒並み高くなっていること
また、学業については
・特別養子縁組の家庭の平均年収は約727万円で、全国平均の約571万円と比較して高い点・それに伴い、塾代などの教育投資が一般世帯よりも高いということです。
現在、養子縁組を希望する夫婦は、一般的には教育水準が高く、収入が安定している世帯が多いことが、こうしたデータに反映されているのでしょう。
また、養子縁組団体の方でも、養親の選別の段階で、収入水準や子どもへの関与度合いを一定程度考慮に入れて縁組を行っていることが、こうした正のバイアスがかかる理由になっているのではないかと推測されます。
特別養子縁組が成立した後、自己肯定感を持って生きてくれる子ども達が多い、というのは、支援をする私たちにとっても励みになりました。
すべての子どもたちがあたたかな家庭に迎えられることを願い、私たちも一層日々の支援に邁進していきます。
*子どもを迎えたいと希望するご夫婦は、まずは知ることから、進めてみてください。
先日発売された、「産まなくても、育てられます」(後藤絵里さん・著)を読んでみるのもお勧めです!