【東京都より妊娠相談事業を受託 】孤立する妊婦に寄り添い、赤ちゃんと母親の安全な出産へ
2021.09.10
フローレンスは2021年8月1日より、東京都から「特定妊婦等に対する相談支援及び産科受診等支援業務」の委託を受けました。この受託により、都が運営する妊娠相談事業「東京都妊娠相談ほっとライン」に寄せられた相談の一部に対応します。「東京都妊娠相談ほっとライン」は、妊娠や出産に関する様々な悩みを抱える都民を対象に設けられた相談窓口です。予期しない妊娠や、妊婦健診や出産にかかる費用が心配といった相談に専門職が電話やメールで応じます。
このたびの委託は、この「東京都妊娠相談ほっとライン」に寄せられる相談の中でも、社会的孤立などご自身で産科病院や市区町村の窓口に相談することが難しい方をサポートするものです。
フローレンスが請け負う事業
「東京都妊娠相談ほっとライン」は2014年に開設された相談窓口です。相談件数は増加傾向にあり、2019年度は4,100件を超えました。このホットラインでは、都内に住む妊婦のうち、以下のような不安を抱える方を対象に電話やメールで対応しています。
●妊娠したかもしれないと不安になっている方
●妊娠中の体調のことで悩んでいる方
● 出産費用が心配な方
(東京都福祉保健局WEBサイトより)
厚労省の調査によると、国内で特定妊婦(出産後の子どもの養育について、経済面や家庭の環境、障害などにより出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦)の認定ケースが2018年までの10年間で7倍に増加しています。
このようなケースでは母子が安全に出産を迎えられないことや、産後も適切な養育がなされないことなどが危惧されます。
フローレンスは、「東京都妊娠相談ほっとライン」への相談のうち、予期しない妊娠、経済的困窮、社会的孤立、DVなどの様々な背景があり、妊娠・出産について御自身で周囲への相談や受診をすることが難しいと相談内容から判断された方について、電話やメールで相談に対応するとともに、必要に応じて区市町村や産科医療機関への同行支援を行います。
相談者が地域の支援に繋がることを目的とし状況に応じた情報提供などを通じて、継続して丁寧に伴走します。
フローレンスが行う支援の例
●継続的な妊娠相談と見守り
●産院同行支援
●生活保護等行政窓口への同行支援
5年間の相談実績から得た知見を活かし、1人でも多くの支援へ
フローレンスは2016年に赤ちゃん縁組事業(妊娠相談・特別養子縁組あっせん事業)をスタートし、相談員が予期せぬ妊娠に悩む女性からの相談に応じ、必要な場合には養育などのサポートも続けてきました。相談受付件数は2020年度までに2,500件以上にのぼります。
また、「深夜・休日・時間帯を問わず、匿名で相談したい」というニーズの高さに応じるため、2020年5月にはLINEで24時間いつでもチャットボットが応答する窓口も開設しました。
こうした、課題を抱える妊婦のサポートを総合的に行ってきた活動が評価され、このたびの妊娠相談事業受託に至りました。
「赤ちゃん遺棄死ゼロ」を目指して
2018年度に厚労省が把握した子どもの虐待死(心中以外)54事例のうち、22事例(約40%)が0歳児でした。さらにそのうちの約30%が生後 24 時間に満たない死亡と考えられる日齢0日児と、日齢1日以上月齢1か月未満児となっており、0歳児の死亡事例の中でも一定の割合を占めています。産まれて間もない赤ちゃんが命を落としていることがわかります。
私たちが報道で目にする「孤独に出産を迎え赤ちゃんを遺棄する」事件は、誰にも相談できず、様々な事情から適切な情報が得られないまま何の支援にも繋がれなかった結果です。
妊娠は女性単独によるものではないにもかかわらず、この結果から母親が法的に処罰され、また社会全体も母親に非難を集中することに大きな課題があると考えています。
不安を抱える妊婦さんと一緒に課題を解決し安心して出産を迎えられることを目指し、寄せられる相談1件1件に丁寧に対応していきます。